Daz Studio に必要な PC のスペックを考える。
Daz Studio を理解する
3DCG は概ね高スペック PC を要求する。一般にゲーミング PC と呼ばれる PC である。また突き詰めていくと、ゲーミング PC ともやや違ってくる。
時代にもよると思われるが、2022年のゲームであれば内部処理速度優先で Vram が 4G~8G ぐらい、対して 3DCG には(ケースバイケースではあるが…)内部処理速度よりは Vram の容量を優先した方がより良かったりする。
あくまでもこの2枚を比較した場合
どちらかというと、ゲーム向きなグラフィックボード
どちらかというと、3DCG 制作向きなグラフィックボード
また 3DCG ソフトによっても内容が違っていく。
Blender が要求するスペックは比較的ロースペックであるが、Daz Studio で Iray を使うのであれば限定的に高スペックを要求する。
Iray を理解する
”限定的”と表現するのは、Iray を使用することを考えれば、単に性能の良いグラフィックボードではなく、Nvidia 製のグラフィックボードを要求する。これは Iray が Nvidia 製であり、法人のやることなので販促用という側面があって当然と思われる。
Iray は CPU レンダリングになるとレンダリング時間が途方もないことになりやすく、使用できる機能が制限されてしまうなどがある。
Nvidia 製グラフィックボード使用による、そこそこの画質で物理レンダリングが短時間で終了する状況を手に入れると、その環境から降りれなくなるという気持ちはよく分かる。グラボ性能にこだわる方が少なくないのもうなずける状況ではある…のだが…。
Nvidia 製グラフィックボードを搭載した PC の方が Iray のレンダリングは格段に早くなる可能性はある。しかしながら、必ずしも早くなるわけではない。グラフィックボードに搭載された Vram の容量を超えてしまうと、グラフィックボードでのレンダリングは行わず CPU でのレンダリングになり極端に速度が落ちることになる。
回避策としては Vram 容量が多い環境に変えるという方法しかなく、それも1枚のグラボでないと意味がない。
つまり…
- rtx-3060Ti (8G:以下”Ti”と表現)
- rtx-3060 (12G:以下”無印”と表現)
上記グラボの2枚刺しという環境の場合、Iray の動作は
- Ti の Vram に収まるシーンは2枚のグラボを使う。
- Ti の Vram を超えた場合は無印しか使わない。
あくまでも、1枚のときと同じ動作で、Vram を合算するわけではない(見かけ上使ってはいるが…)。メリットは容量の小さい Vram に収納できるケースで、レンダリング時間を短縮できることにとどまる。
同じサイズのカードを 2 枚用意する必要はありません。また、小さい方のカードが大きい方のメモリを制限することもありません。Iray は、両方のカードが有効になっている場合、シーンがそれぞれに収まる場合は両方を使用します。シーンが大きい方のカードには収まるが、小さい方のカードには収まらない場合、小さい方のカードは削除されますが、大きい方のカードは引き続きレンダリングされます。(Google 翻訳)
There is no need to have two cards of equal size, nor does the samller card limit the memory available on the larger – Iray will, if both cards are enabled, use both if the scene fits on each; if the scene fits on the larger card but not the smaller then the smaller wil be dropped but the larger will still render.
以下の投稿から Daz フォーラムモデレーターRichard Haseltine 氏による、このスレッドでの最初の発言を引用した。
このような仕様なので、容量不足解消には1枚のグラボで Vram が大容量というカードを用意する他ない。このあたりの仕様について思うところも色々あると思うが、Iray の仕様なので致し方ない。
そこまで設備投資するのは気が向かない…という方もいらっしゃって当然と思う自分もいる。
このような仕様なので性能を追うタイプの方は最新大容量に買い替え続けることになるのかもしれない。しかしユーザーさんにも色々なタイプが存在し「それなら CPU を最高級にする」という方もいらっしゃるので、周りに流されず自分にあった物を選ぶことが大切。
“楽しむ3DCG”という方やそうも行かない方、他のことに予算を回したい方などもいらっしゃると思う。
自分を理解する
Daz Studio でストックフォトをやっていらっしゃる方や、趣味にお金をかけることに躊躇ない方などは、”待ったなし”で Nvidia 製グラフィックボードを搭載したハイクラス・ハイスペックPCを手に入れるべきである。
仕事で使われる場合は、仕事なのだから生産性第一というところだ。
まぁ、これぐらいは欲しいところ。
趣味だけど、そこそこ快適な環境で…。そんな方はメモリ 32G 以上、Nvidia 製グラフィックボードで搭載 Vram 12G 以上と言った感じではないだろうか?(新品 PC ならば、2022年11月現在で、おそらくは15万円~20万ぐらい)。
※最近の中古市場は、マイニングに使用されたグラフィックボードも出回っていて、その耐久性能に疑問が残る。24時間稼働でフル回転なのだから、避ける方が良いのでは?と思っている。
CPUは グラボ以上で考えれば良いと思われる。例えば、rtx-3060 ならば、最近のモデルで言うと AMD Ryzen 5 5500 や Intel Core i5-12400 かそれ以上ということになるだろうか。
※CPU で dForce のシミュレートを行う事を考えているならば GPU 機能のない F や KF などは候補にならないことに気をつけよう。また、詳しくないのだが、AMD は CPU での OpenCL サポートをしないと言っているとかいないとか…らしいので、AMD で グラボなしというケースは気をつけた方が良いと思われる。
もちろん Nvidia 製グラボがなくても Daz Studio は動作可能である。以下 Daz の公表しているシステム要求(2022.11.23 現在 Windows のみ抜粋)
- Windows 32 ビット
- Intel Xeon/Core 2 Duo または Quad /Core i7 または AMD Opteron/Phenom プロセッサ 1.6 GHz (2 GHz デュアル コア以上を推奨)
- Windows 10、8、7、および Vista (Windows 10、8、または 7 は推奨)
- 1 GB 以上の RAM (2GB 以上を推奨)
- インストール用に 1GB のハード ドライブの空き容量
- 少なくとも 128 MB の RAM を搭載した OpenGL 1.6 と互換性のあるグラフィックス カード (ハードウェア アクセラレーション OpenGL 2.2 以上、512MB の RAM との互換性を推奨)
- DirectX 9 (オーディオ処理に使用)
- Windows 64 ビット WHQL-64 認定
- Intel Xeon/Core 2 Duo または Quad /Core i7 または AMD Opteron/Phenom プロセッサ
- Windows 10、8、7 & Vista (Windows 10、8、または 7 を推奨)
- 2 GB RAM 以上 (3GB+ RAM )
- インストール用に 1GB のハード ドライブの空き容量
- 少なくとも 512 MB の RAM を搭載したハードウェア アクセラレーション OpenGL 1.6 互換のグラフィックス カード (OpenGL 2.2 以上、互換性を推奨)
- DirectX 9 (オーディオ処理のみに使用)
- **追加の詳細:
- NVIDIA Iray レンダリング エンジン: 64 ビットのみ。4GB 以上の VRAM を搭載した NVIDIA ビデオ カードを推奨。CUDA Compute Capability 2.0 以上が必要です。
Iray レンダリングに Nvidia 製グラボを使うかどうかがスペックの肝になるのは前述した通り。
Daz Studio はシーンビルダーと割り切って、レンダリングは Blender など別ソフトにする…という手段を用いれば Nvidia のグラボではなくともやれなくはない。ただし、全くの初心者には敷居が高い。
後は”現在のハードでとりあえず使ってみて、実際の作業でどこに不満が出るのか?”によると思う。webで画像を発表する程度の内容であれば、CPUレンダリングとノイズリダクションで活動は可能かもしれない。
ロースペックでの Iray に役立つ情報一覧